飯田雅子 理事長より

 

ひとこと

                                       

プロフィール:日本女子大学を首席で卒業。知的障害者の研究や弘済学園をはじめとする障害者施設の施設長を歴任。大学の講師も務める。平成25年、弘済学園での功績を認められ「瑞宝双光章」を叙勲。


2018年9月


   改めて青年期をまとめておきます。

 

   青年期は、成人期をしっかり生きていける力をはぐくむことが課題となります。

   青年期には、障害が重いと言われる人たちであっても、作業・活動を通して「何かがやれる」ことを知ります。そして、この「やれた」ことを認められる経験を持つことによって彼らは喜びを味わい、自信を持ち、積極的な行動を起こし始めるのです。

    それが、新たな次の「何か」に向かわせます。この循環こそは、生きていく力をはぐくむ基本であり、障害の有無を問わないのです。

    ただ、知的障害のある人の場合は、一人ひとり独自な個性を持っているため、何がやれるかを見いだしてもらえることは難しく、まわりの支援者がそれを外したときは、決定的な分かれ道となってしまうのです。

    このように「何かを見いだしてもらい、支援を受け、会得する」のは、彼らの障害からくる学習のしかたの特徴なのですから、彼らの人生は、まわりの支援いかんによると言っても過言ではないのです。

   「名馬は常にいるのだが、馬の才能を見いだす名伯楽(馬の調教師)がいない」のと同じなのです。彼らの力を培うまわりの者のありかたが問われるのです。まわりの者は、この立場を十分わきまえて彼らと出会っていきましょう。そこに、支援者としてのだいご味もあるのです。

    この点から、まわりの者は彼らをどう受け止めているのか、どんな生き方をしてもらいたいと願っているのかについて「自らに再度問うこと」が必要ではないでしょうか。彼らを伸ばすも摘み取るも、せんじつめると、まわりの者しだいなのです。

    障害を持ちながら就労に取り組む人たちも、これからくず葉に入ってきます。それは、まさしく、各々の主体的生き方の姿です。確かに、少なからぬ支援を必要とする人たちではありますが、しかし、それぞれが自分なりに障害を受容しながら、各人が持っている能力内で十分に自立していればよいのです。彼らの障害は、全人格的な障害ではありません。一人ひとりが能力内で自立している事実の重みを、あらためて確認しましょう。

    能力開発と、円満で意欲的な人格形成へのアプローチについて、作業や活動を実際に展開する際の配慮と与え方を考え、捉えておかなければなりません。

    活動の種類はたくさんあってよいでしょう。また、作業や活動を与える際は、対象者をよく捉えたうえで、実際に即してしっかり考えることから始まります。私たちの仕事は、試行錯誤の連続です。つまりは、現場での創意工夫がより大切なのです。たくさんの利用者さんと出会う経験の中で、苦労して得たノウハウが蓄積されて初めて、個々に応用可能となります。

    アプローチのしかたは、一人ひとりの現状における人格像をとらえながら、これまでの育ちを振り返り、期待過剰にならず、あきらめず、十分吟味しながら進めることが基本です。

    また、困難に直面しては事態を直視し、柔軟に思考し、大胆に試みる実行力を備えていくことです。

    自らの人生を歩み続けるのに、強く生きていける力をたくさん得られる支援を具現していきましょう。

   私たちは、それへの努力を惜しんではならないと思います。


2018年8月


   今まで乳幼児から思春期前半まで述べてきましたが、成人施設である当園は青年期・成人期の支援現場であることから、改めて基本を振り返っておきます。

 

   知的障害のある人の心身は、児童期から青年期へと移行する中で、著しい変化を見せます。「小さくて、今までは言うこともよく聞いてくれたのに…」それがそれが、「体が大きくなって」「自己主張が強くなって…言うことを全然聞いてくれないんですよ」というつぶやきが、まわりの人からよく聞かれます。それは計らずも、青年期の体と心の特徴をよく言い当てているといえます。

   体が大きくなって大人と背丈を競い、心も独立して自分の意向をはっきりと持ち始める青年期。今までは言うことをよく聞いてくれていた子どもが、独立し、気持ちのよくつかめない大人に変身してしまう。そこで周りの大人は、青年期の子の激しい変化に驚いて、的確な対応ができず、そればかりか知的障害のある人たちの青年期は、その対応が原因となって、さらに問題をこじれさすことも少なくないのです。順調とか充実という言葉が当てはまりにくい現実に会うことも起こります。

   青年期が人生に占める意味を考えてみましょう。

   まずこの時期の反抗ないし自己主張は、独立した人へと育つ機会として積極的な意味を持ち、独立へのステップを踏み出そうとしているのです。さらに乳幼児期・児童期・青年期・成人期・老年期というライフサイクルから見て、成人期は最も長い時間経過となります。それゆえ、支援の意味は最終的には成人期の姿をもって評価されてよく、それを準備する青年期支援の割合は重責です。さらに、もしゆがんだ人格形成をしてしまった場合の青年期とは、彼らが円満に育つための、事実上のラストチャンスであるという点です。

   青年期支援が知的障害の人に担う役割の大きさを、あらためて確認しましょう。

   では青年期に望ましいのはどのような支援なのでしょうか。

   まず確認しておかなければならないことは、青年期支援という特別なものがあるわけではないということです。児童期で受けた支援の延長上に、青年期の支援が積み上げられるのです。児童期の基礎がしっかりしていて初めて大きな伸びが期待できるのです。

   これを前提とすると、青年期に望ましい対応は「自分の心を持ち始めた彼ら」の欲求に沿う課題を準備していくことです。自己主張の強くなった青年期には、その独立心を否定したり、今までのように一つひとつ隣について間違いを指摘したりするのではなく「自分のできることを教えて身につけさせていく」ことです。自分でできることを自分の力でやる中で「できるんだ!」という深い実感を味わいます。この実感を根拠に自信が自然とついていくのです。たとえ小さな一つの手柄から得た自信でも、やがて一つひとつの小さな自信が集結され、成人期を準備する「意欲」を形成していくのです。能力の高い低いとは無関係に「できるんだ!」という実感と自信と意欲が融合する姿になるのです。

   一人ひとりの人格が生み出され、気持ちの豊かさが青年期の顔の中に創られるでしょう。ここで得る充足感は心のゆがみを解き、行動障害をおのずから軽減する結果も生んでいきます。知的障害の内容は、単純な精神遅滞であったり、自閉症を合併していたり、中度であったり、重度であったりと多種多様です。一人ひとりの利用者の実態を踏まえた作業や活動が工夫され、個が発揮される内容に出会わなければなりません。やさしい作業・活動から難しい作業・活動へと各人を発揮させるための創意工夫です。

   彼らの成人期の、より快適で豊かな人らしい生活の実現に向け、一人ひとりの適性に再度光を当てる生活を描き、支援の在り方を考えていきましょう。

 


2018年7月


穏やかなパーソナリティーの形成を計ろう⑥

 

3‐2.育ちの各々のステージの内容(発達の様子)を捉えながら、常に絶対評価の視点で価値ありと評価されることー自己存在としての是認ーで個の確立が計られる

 

 思春期は、心身ともに大きく変化・成長する時期にあたることから、前期と後期に分けて扱い「自己存在を是認」されるための心得について記してみます。

 

思春期(前期)編

     

    思春期のテーマは心身の変化に対する乗り越えです。ここを念頭に置いて適切な支援につなげることが、穏やかなパーソナリティを育むことになります。

    人は誰しも人生の途上で心身ともに大きな変化を伴う思春期を迎えます。この時期も他の時期と同様、決して飛び越えることのない時期です。障害のある子どもは、その障害ゆえに、自らの変化に気づき、訴えることに困難を抱えています。さらにその時期特有の複雑な心理状態を自らの力で伝えたり、受け止めたりしながら乗り越えていくことが難しいため、関わる側も難しく感じるようになるのです。そこで思春期特有の気持ちの変化を洞察しながら、適切に支援することが求められるのです。

    この時期のまずの変化は、身体発達が第2ステージに入り第二次性徴を迎えるということです。すなわち、身体的には性差が明確になり、成熟に向かうことになります。しかもその年齢は、どんどん若年化し、女性は11・12歳で初潮を迎え、男性も骨格や変声が13・14歳で現れます。この変化はホルモンバランスが変化することによる現象です。そしてその姿は、自然に現れる成長として捉え、早期になっているといえます。このように身体的・生理的変化を自然・当然なことと認めることを知りましょう。

    同時に、前述の身体変化と相まって、精神的変化も成長として現れます。それは内面性として、自我が明確になってきますので、おのずと自己主張が強くなります。また、衝動性に誘発され、ストレートな表現になる行動として現れてきます。

    こうした事柄は、障害とは関係なく心身の変化として起こるのですが、それらがどのように個体として表現されるかになると、知的な障害のあるこの場合は、コントロール力の異なりがあるので、その行動勅はかなり個々で異なりを見せることになります。しかもその行動は、多分に周囲の人が困らされることに出会うことになり、周囲の者は、当然のこと、その行動を止めにかかり「ダメ」という対応になりがちです。「ダメ」対応を多く受けた本人は自信を失い、自己存在を否定されているとさえ思うようになります。そのプロセスが、パーソナリティ形成に負に働いてしまうのです。そのことを念頭に、本人の気持ちに目を向けてアプローチをしていくことが必要です。

    そのためには、思春期前期に認める心身の変化メカニズムを理解すること、そして関わる人は意識の切り替えが大切になります。行動から見た是非の対応を取る前に、どのような心身のアンバランスがあるのかを各人に対して捉え、行動の要因を把握しながら、要因理解の上に立った解決の道筋を考えながら、本人のわかる力に合った対応を取っていきます。特に性に関する事柄については、当然異性との関心も芽生えてきますから、同性が対応することを基本として、行動のとり方を伝えます。本人が行動の物差しを社会に通用する線を得ることを目標とします。

    そのプロセスでの実際的対応は、本人を尊重する姿勢を常に保ち、本人のできているところ、わかっていることは見守り、是であることを確認します。助けるところは、本人の課題になる部分に絞ります。しかも、決めつけ・押しつけはせず、同時に禁止・叱責は避け、解決・提案・促しを心がけます。この状況下では、関わる人は「待つ」ことが求められますが、ここで口うるさくなると、本人はその対応に拒否の反応をし、本来の目的が届かない結果となります。そのうえ、自己否定されたと捉えてしまい、自己是認感が失墜するのです。かかわり方は、本人の受け止め方を前提に、丁寧に関係性を保ち、さらに構築する方向への留意が必要になります。

    自閉症スペクトラム障害の子も心身の変化は同様です。特に身体的変化と相まって、感覚の傾向がより過敏になるため、知覚過敏も強くなり、新たな過敏性(知覚変容現象)も生じるようになります。そのために、より行動がストレートになり、反抗心が重なり、情緒不安定な傾向に陥り、パニックが目立つようになります。過敏性に対しては、周辺環境のできるだけの調整は計りながらも、全て整えることは不可能ですから、本人の了解の取り付けを心がけ、折り合っていける線を求めることになります。

    折り合うラインを双方が認識できることが大切です。本人のコンディションは捉えていることを伝えながらも、許容される線の理解を丁寧に進めていくことが必要です。

    常に、本人の特性を理解しながら、主体的・自主性を尊重した支援の継続です。

 

    この自己表出が多感な時期こそ、絶対評価に立ち、一人ひとりの個性としての理解と尊重の姿勢でのかかわりによって、本人は自己存在を是と認識する礎になるのです。周りの、本人への理解の的確さをもった方向付けをもって、継続した支援が重要となります。

 

    次回は、思春期後期についてみていきます。

 


2018年6月の

「飯田理事長より ひとこと」は

お休みさせていただきます


2018年5月


穏やかなパーソナリティーの形成を計ろう⑤ 

 

3‐1.育ちの各々のステージの内容(発達の様子)について、絶対評価の視点で価値ありと評価される-自己存在としての是認-

 

学童期編

     

    学童期は学校教育が育みの場として位置し、9年間の教育の時間が介在します。しかも他の時期と比べて発達が旺盛な時期でもあります。そこでこの時期を逸しないように心身ともに着目していく必要があります。

    さまざまな体験を通して学習していきます。体験を通して、子どもの内在する力を高めると同時に、子どものできることを増やすことによって、子ども自身が自分の力に自信を持てるようになり、それを積み重ねることで自ら挑戦しようとする意欲的な姿が見られるように育みます。

    こうして得た自信や意欲は、学習や活動、さらには作業に向かう態度形成のベースになります。そしてさらに自主性や主体性が育ちます。これらは内面的な力でもあるので捉えにくいのですが、細かな留意した育みによって、しっかり祖育っていくともいえるのです。

    各々の絶対評価視点を持ってスモールステップを図ることです。この進め方の配慮としては、コミュニケーションが双方にとれていることが鉄則です。その実際は子どもの発達に応じたコミュニケーションの取り方を工夫し、丁寧にやり取りしていくようにします。

    結果として子どもは、自分の意向を聞いてもらえ、意思を尊重するかかわりを感じ取り、自己存在を是認できるのです。

   自閉症スペクトラム障害の子どもは、人との適切なかかわりがわからず、本人も困惑することが多くなるようです。その一方で本人の示す行動は「是」とならないこともあり、その結果、本人の気持ちに反して注意されたり叱責されることが多くなり、自己肯定感が低くなっていくようです。

    この行動の背景が子どもの特性に関係していることに気づき、自己肯定感を得る適切なかかわりをしていくことです。外界の刺激をキャッチする五感に偏りを見せることが特性にあげられるので、その子の受け止め方を捉え、共通する認識になっているかを確かめたうえで、捉え方に合わせたアプローチになることに留意しなければなりません。

    コミュニケーションの取り方への配慮が重要になります。人と関わりたい・認めてもらいたいという気持ちが育まれている時期です。自己肯定感を高めるためには、本人の自信のあることや楽しめることを見いだし、それを媒介に人との関係をさらに深めていけば自己存在としての是認につながっていきます。

    学童期の重要性を認識して、かかわりをもつ側のすべての人たちが子どもの特性を把握し、その関連による行動の本意を解釈したうえで、各々の子どもに応じたスモールステップを図っていく育みを貫くことになります。 


2018年4月


穏やかなパーソナリティーの形成を計ろう④

 

   12月は、6項目の一つ目「各人の誕生が喜びの中に受け止められている~100%の受容による自己存在の確認を得て、人への信頼感が芽生える~」についてでした。

    今月は二つ目の項目についてみていきます。

 

3‐1.育ちの各々のステージの内容(発達の様子)について、絶対評価の視点で価値ありと評価される-自己存在としての是認-

 

乳幼児期編

     

    絶対評価の視点で本人の存在が「是」として受け入れられているということは、人間対人間の関係性において大切であることを確認しました。障害があるとはいえ、彼らもすこやかに育ち、人間らしく幸せな人生を歩む権利があるのは当然なことであります。関係性の内容は、各ステージで絶対評価のもとで自己存在を是認されて成立するものなのです。

   各ステージを5つのライフステージに区分し、ここでは乳幼児期編として「自己存在を是認」されるための留意点をあげ、また、自閉症スペクトラム障害への配慮点もあげてみます。

 

乳幼児期

   この時期は、全面養護の下に一日を過ごすので、育児者側の在り方が要になります。そしてこの間に子供は愛されることで人を信頼する芽、即ち愛着形成をすることになります。そこでどの子であっても、愛情をもって規則正しい生活の中で丈夫な体を作るように努めていきます。

   障害のある子供は、生理的三原則(食べること・眠ること・排泄することをいい、生理的営みの基本)を整えることに大きな課題を抱えるため、健康状態を維持していくことが難しくなります。それに伴い、親が悩み、不安を感じ、いら立ちを感じることもあるでしょう。親の揺らぎは、子どもの自己是認に影響を与えます。そこで支援としては、生理的三原則を整えることに重点を置き、丈夫な体づくりを心がける中、親との関係が築けていくことに最も留意します。

   よって親は、子どもが快いと感じられる環境づくりに留意します。子ども各々の特徴や関心の持ち方などを関わりの中から捉え、子どもに通じる関わり方を選んでいくことになります。快く親と共に遊ぶ過ごしの体験を積み上げていきます。このかかわりが、人との信頼関係を構築する機会なのです。例えば表現する際の例として、誉めるときにはオーバーアクションで表現し、子どもが承認されていることを実感できるようにします。この物差しは、子どもの表情や反応で捉えます。こうした関係性の中で自己存在を是認できていくのです。

   自閉症スペクトラム障害の乳幼児は、おとなしくて手がかからない・人見知りがない・もしくは乏しいといった様子を見せたり、時にはちょっとした刺激に過敏に反応し、泣いてばかりいる・睡眠が乱れるといった様子を見せるようです。こうした子どもの様子は、働きかけに対する反応が予想通りでない姿になります。そのため、親もどのように関わってよいかわからず、結果的に親が子どもへ働きかけることが少なくなっていくようです。しかし、この時期にこそ子どもが快と感ずる関わりを留意し、子どもに愛着形成を図ることですから、子どもの反応を手がかりに、スキンシップや顔を見て表情を捉えます。スキンシップを心がけ、視線を合わせての発声や表情を介した関わりをしていくことが大切なのです。

   その後、歩き始めるころになると徐々に勝手に動き回るようになります。それに伴い親は育てにくさを実感し、親としての不全感にさいなまれるようです。そこでこれらの行動(視線が合わない・呼びかけに応じない・指さしをしないなど)が気になり、受信し、診断を受けます。大切なことは障害があることの診断についての咀嚼です。子どもの行動の特性をきちんと理解し、その特性を留意した子育てを意識することなのです。

   支援者の心得は、乳幼児期は障害のある子どもであっても、育ちの土台を形成する時期であり、子どもの内在する力を発揮させるために育むべきことを心得ておくことが必要です。それは人を信頼できる愛着形成する人間関係の成立です。その心得を親に伝え、支えることは、障害のある子どもを抱える親への支援として重要です。なぜなら、親の関わりいかんによって、子どもの人格に歪みを生じさせるかどうかが決まるからです。そのため、親が「この子を育てていこう」という覚悟ができるように支援する必要があるのと同時に、その覚悟ができる「人」の存在が欠かせないものとなるのです。

 


2018年3月の

「飯田理事長より ひとこと」は

お休みさせていただきます


2018年2月


穏やかなパーソナリティーの形成を計ろう③

 

   12月は、6項目の一つ目「各人の誕生が喜びの中に受け止められている~100%の受容による自己存在の確認を得て、人への信頼感が芽生える~」についてでした。

    今月は二つ目の項目についてみていきます。

 

2.各人の育ちの各々のステージにおいて、本人の存在が「是」として受け止められて

     いる。

     

        人が自己存在の確認を得て、他者への信頼関係を築いていくには、本人の

     存在を「是」として受け止める周りの人がいなければなりません。しかもそ

     れは一過性のものではなく、各々の各ステージにおいて、重い軽いの差はあ

     りますが大きく影響する核となるものです。

         育ちの各ステージでは、周りの人が本人の障害特性について、気づき理解

     していなければ、本人と関わる者との間で齟齬が生じます。例えば、知的障

     害であれば「知的なところが弱く、何もできない、わからない」と思われた

     り、自閉性特性があれば「自己本位で関係性がもちにくい、コミュニケー

     ションがとれず扱いにくい」という見方になりがちです。これでは本人を捉

     える見方はマイナス方向が多くなり、本人の存在を「是」として受け入れる

     には困難を生じるでしょう。

        人を受容する心のつくり方は、理解することから始まります。そこで障害

     のある方への正しい理解を得るうえに、知的障害のことを例にお伝えしま

     しょう。

        本人の胎生期から出産・乳幼児期いづれも個体として育つすべての時期の

     いづれかで、脳に損傷を受ける疾病をはじめ様々な出来事に出会い、その結

     果、脳がおかされた後遺症としての姿があります。

        人間の身体は細胞が単位で成り立っていますが、その細胞には性格があ

     り、脳の細胞は一度傷ついたり、死んだ部分は現代の医学では再生しないと

     いうこなのです。すると、残された細胞をフルに働かせて生きていくこと

     が余儀なくされる、ということになります。この姿を「何らかの原因による

     後遺症として認識する」というものです。

        即ち、ダメージを受けた脳細胞の不可逆的な状態であることは、その「残

     存能力を力として生きていかなければならない」ことにならざるを得ませ

     ん。その意味 で、彼ら一人ひとりを「是」として受け入れていくことは、正

     しい障害認識を持つことです。

        人に対する正しい認識とは、人間に対する価値観のことで、ノーマライ

     ゼーションの視点です。その視点は障害があろうとなかろうと、人としての

     「個の尊重」につながるのです。

        その価値観の大切な視点となるのが「絶対評価」です。人に対する評価

     は、社会への貢献度や有用性で決まる相対的なものではないのです。絶対評

     価の視点は一人ひとりがどれだけ自らの力を発揮しながら人らしく生きるか

     とする考え方です。そこに自己実現に至る道があるのです。

        要約すると、部分は弱くなっていますが「感性」はダメージを受けていな

     いということです。知性と感性のアンバランスがあることです。適応力・判

     断力・自律性・学習の理解力等の弱さがある一方、感性は鋭いということで

     す。

        実際場面を例にとってみます。

         【いつも食事をこぼしてしまう利用者さんがいました。こぼさないように

            と、繰り返し声をかけながら、ときに手を取って介助をしながら、こぼ

            さない食べ方を教えていきました。しかしなかなか上手くいきません】

       この状況で二人の支援者の関わりを見てみましょう。

       ある支援者は、皆ができていることができないので、イライラした態度を

    とってしまいました。その利用者は、こぼさないで食べるどころか、怒ってご

    はんをひっくり返してしまいました。翌日は悲しくなって泣き出しました。以

    後この支援者の言うことを聞いてもらえなくなりました。

       別の支援者は、彼のことがよくわかって、丁寧にやさしく関わりました。す

    るとその利用者はとても素直に意欲を見せました。そしてその支援者はその利

    用者から頼りにされる存在になりました。

       後者の支援者は絶対評価の支援で利用者を受け入れています。彼らは感性

    が残存能力の一つですから、それをアンテナとして人を知ろうとし、自分に

    とってどんな人かを捉えようとします。理屈がほとんど通じず、弁解は役に立

    ちません。その意味で、絶対評価の視点で本人の存在を「是」として受け入れ

    るということは、人間対人間の付き合いとなるだけに、そこがなければ「穏や

    かなパーソナリティー」は育っていかないのです。

 

       次回は「穏やかなパーソナリティーの形成」のための3番目の項目として、

   育ちの各ステージの内容(発達の様子)について具体的にステージを分けてみ

   ていきます。


2018年1月の

「飯田理事長より ひとこと」は

お休みさせていただきました。


2017年12月


穏やかなパーソナリティーの形成を計ろう②

 

   「12月のひとこと」は、健常な人の場合は、充足されて経過した成長過程があれば各人の歩みの中に出会いの諸々の実態との関連を経て、進展していくのだと話しました。

   この経過は、障害がある方であっても、ポイントとしては同様だと考えます。

   ところが実態を項目ごとに捉えてみると、かなり異なりがあるようです。

   そこで今回からは、障害のある人の場合の、異なりになりやすい点を挙げ、テーマに向けて、誤った道にならないようにすることも加えて述べたいと思います。

 

1.各人の誕生が喜びの中に受け止められている

     ~100%の受容による自己存在の確認を得て、人への信頼感が芽生える~

         子どもの誕生について、喜びの中に受け止められての瞬間であることは変

     わらないでしょう。しかし、生後間もなく障害のあることが判明した場合は

     どうでしょうか。

         関係した医師の多くが「お子さんの障害診断の伝えは、考え悩むところ

     で、親御さんの側の受け止めを考慮し、両親揃った場で伝えるようにしてい

     る。」と話さます。ということは、お子さんの状態が単なる一過的な病気

     ではなく、医学的治療によって解消する対象ではなく、治療されながらも

     ベース的に継続していく状態であることを、お子さんの育ちを考えて誤らず

     に伝えることの厳しさがあるからです。

         その伝えを診断として告げられた両親は、どのように受け止めをされるの

     でしょうか。殆どの方は、健常な子を基準に心得を持っておられる状態にあ

     るところへの、障害のあることの伝えが、すんなり理解できることにはなら

     ず、混乱と葛藤の中にあっても、何ら不思議ではないのです。なぜならその

     事実は、出会うまではこの件の現象は、自分には関係のない事項であり、直

     結する当事者ではなかったのですから。しかも誕生の喜びと子育ての厳しさ

     が同時に来て、親としてどう対処していけばよいかを導き出すには、あまり

     にも大きく重い課題に遭遇されていると察することが出来るからです。

         とはいえ、子ども自身に軸を置くならば、100%の受容による自己存在の

     確認を得て、人への信頼感が芽生える道を経過させねばなりません。なぜな

     らば、親として100%の愛情を注げるゆるがない心情を得て親となり、子育て

     をしていけるために、障害のあるわが子、わが家族の出現に対しての納め 

     (悟りともなるのでしょうか)をして頂くことから整えなければならないの

     です。

         この親と子の立ち位置を確認する時、必須になさねばならないことが適切

     な早期診断を受け継いでのファミリーサポートの実際です。それが不十分で

     あれば、親はわが子の誕生に対する100%の喜びの受容を継続することは困難

     でしょう。

         何としても子育てに真摯に向かう親御さんの心情を創出し頂くために、

     ファミリーサポートは進められなければなりません。苦悩に葛藤する親の心

     情に寄り添いながら、障害についての理解のための適切な解説、一人ではな

     いこと、そしてそ子なりに育っていくことを。

        そのために愛情をいっぱい注ぎ、手をかける関わりを続ける中に、わが子

     の育ちの姿を見て、楽しみを感ずること等々、細かく事象を通しての共歩で

     す。そして人として生まれ、人として生きるわが子の命と、育ちへの担いに

     立ち上がっていただく支援です。育児の実際を共に進め、心情共有を十分に

     持っての進行です。この時間は短いに越したことはありませんが、各々で

     す。その間、じっくりとサポート

     を続けていく実践が必要です。子どものこれからの育ちのため、もちろん、 

     家族の生き方のうえにゆるがない心の基盤を創りあげるためにです。

        関係するすべての人の心を、子どもの育ちのスタートに注ぐことが求めら

     れるのです。


2017年11月


穏やかなパーソナリティーの形成を計ろう①

 

   人社会の中に生きる人として「穏やかなパーソナリティーの主」は、とても豊かな人生を歩む力の一つを備えているといえます。それは、生を受けて誕生し、終焉を迎えるまで、人との出会いの連続の中で経過していき、その出会いはその人の人柄(人となり)が軸になる展開になるからです。このセオリーは、暗黙のうちに共有する認識になり、あらためてクローズアップされることも少ないのですが、何人であっても人としての備えの根本として認識し、その育み過程を確認し、障害のある方への計り方の留意を明確にしなければならないかと思います。

   そのためのポイントをおおざっぱにですがあげ、それらのポイントからの障害の障害のある方への留意を整理したいと思います。

   まず、どの人にも必要なことは、各人の存在価値が明確なことです。

   そのポイントとなることを考えてみます。

 

    1.各人の誕生が喜びの中に受け止められている。

           -100%の受容による自己存在の確認を得て、

                                                                       人への信頼感が芽生える-

    2.各人の育ちの各々のステージにおいて、本人の存在が「是」として

           受け止められている。

    3.育ちの各ステージの内容(発達の様子)について、絶対評価の視点で価値

           ありと評価される。

           -自己存在としての是認-

    4.各人が困難に出会った際、周囲の出会い方として、否定されず的確なサ

           ポートを得て、困難を克服する実績を得る。

           -自信・克服力・挑戦力- 

    5.社会には、様々なタイプの人があり、己もその一人であり、その集合体と

           しての社会である故の他人に対する捉え方・出会い方・つきあい方につい

           て、己の器についての自己把握と許容・拡大への模索をし続ける態度の熟

           成。

           -無限大-

 等々が要件になるかと思います。

 

    健常な人の場合には、1~3が充足されて経過した成長過程があれば、4~5は各人の歩みの中に、出会いの諸々の実態との関連を経て進展していくのだと思います。

    この経過は、このテーマについての要件ですので、障害がある方であっても、ポイントとしては同様だと考えます。ところが実態を項目ごとに捉えてみると、かなり「異なり」があるようです。

    次月からは、障害のある人の場合の「異なり」になりやすい点を挙げていきます。 


2017年10月


障害のある人との出会い方の心得

~かかわる上での留意~

   障害のある方との出会い方は、ご本人に大きく影響を与え、その方の生き様に関与する程ですので、十分心構えを持つことが必要です。そこで障害のある人との出会う際の、かかわる側の留意点をいくつか心得としてあげます。

 

1.一人ひとりに着目すること

         障害の様相や程度は、その実態は一人ひとり異なると捉えます。故に個々

      の障害の程度や状態・生育歴を把握し、個々に応じて関わっていくことが必

      要になります。そこで、個々の実態把握に努め、個々の気持ちを受容しなが

      ら関わる必要があるのです。

          障害のある子供や人への療育支援においては、概論は持つとして、現状に

      当てはめるのではなく、個に応じた関わり・展開を心掛ける必要がありま

      す。

 

2.感性が鋭いことを大切jに

           知的な障害があっても、感性はたいへん鋭く豊かです。障害のある人は、

        快も不快もすべて敏感に感じてしまうため、彼らにとって快の刺激の多い

        生活環境をつくることが必須となります。

            そこで、彼らが安堵できること・喜びを感ずることを多くしていくこと

        が必要です。

            一方で彼らは、自分が感じたことを表現することが上手ではありませ

        ん。そのため、彼らの示した行動を介して、彼らの気持ちを洞察し、気持

        ちの共有が図れるようにする必要があります。

 

3.興味関心を引き出す

           その人が見せる興味関心は、その人の自発性の源泉になります。そこで、

        その人との関わりを通して、興味関心のあることを観察し、見つけ出すよ

        うに努める必要があります。

            さらに、その人と関わる際には、ただやらせればよいのではなく、その

        人自身が了解して取り組む状況をつくることが大切となるのです。そこで

        は、目的意識を持たせ、楽しく取り組める工夫をし、関わることが大切で

        す。

 

4.絶対評価の視点を持つ

           その人のやる気を育て、認められることで喜びが循環していくためには、

        その人の現状レベルを把握し、そのことが出来たら承認するようにしてい

        くことが大切となります。そのためには、その人の力を捉え、その力を分

        母として、やれていることを分子にする捉え方、すなわち絶対評価に立っ

        て捉えるという視点が必要です。

            彼らの評価はこの方式で良いのです。


2017年9月


みんなおなじ・みんなちがう

   私たちはだれしも「人」であり、「人」が構成する社会の中で暮らしています。ここでは「人」という大きな枠組みの中で、「みんなおなじ・みんなちがう」ということについて、考えてみたいと思います。

 

   私たちは「人」において、「みんなおなじ」とはどういうことなのでしょうか。「みんなおなじ」に共通することとして、「人であること」「親から生まれたこと」「人としての権利をもつこと」「欲求をもついこと」「夢を抱いていること」などが挙げられます。これらをまとめてみると、私たちはどんな人であっても人として生きる権利を持ち、夢を持って生きている人であることがわかります。

 

   つまり、私たちは、人として生きているという現実においては、みんな基本の部分が同じということです。けれども、同じ人であっても顔が違ったり、背格好が違っていたりします。また、得意なことや不得意なことも違っています。こうして考えてみると、私たちは「人」という枠組みでは「みんなおなじ」だけど、各々の内容を見ると「みんなちがう」ということなのです。

 

   「あなたはどんな人?」「あなたはどんなことがしたいですか?」の問いかけに一人一人が答えていくと、同じ「人」であってもだれ一人同じ人ではないことに気づくでしょう。つまり「人」は人としては同じであっても、一人ひとり違うということが明確になっていくのです。

 

   人を捉える視点を「みんなおなじ・みんなちがう」におくことは、障害のある人への理解をするための出発点になるのかもしれません。そこでまずは「同じであっても違っていること」を認め、一人ひとりの人を大切にする気持ちを持つことから始めてみましょう。

 

   そうした気持ちになれば、障害のある人たちが私たちにそのことを教えてくれていることに気づくかもしれません。障害のある人との出会いを通して、私たちはそのことに気づかされ、人として豊かに生きる道を知っていくのかもしれません。


2017年8月


職員としての振り返り③

   知的障害のある人は、言葉だけでなく、行動で気持ちを表現することがあります。しかし、支援者の対応に対して文句を言ったり、クレームをつけたりすることは少ないです。

   そうした人への支援では、つい彼らの特性を理解することもなく、彼らの気持ちに共感することもなく、彼らの思いに応えていくこともなく、ただ行動に見える現象の是非で対応することになりやすいのです。それでは支援とは言えないでしょう。

   私たちはせっかく支援という仕事を選択したのですから、しっかりとその人の行動の背景や内面を洞察する努力をして、できるだけその人を間違えずにキャッチする力を備えたいと思います。

   そこで、支援者として働く立場を活用し、人への洞察力を高め、ひいては自らの人間性と専門性を高めるようにしていきたいと思います。なぜならば人と人との出会いと付き合いの中で支援は進みます。一方通行ではないところに「己を磨く」が課題として登場すると思うのです。

   その実際の例として、障害のある人との出会いは、支援者自身の足りなさを気づかせてくれるものになるのではないでしょうか。彼らとの出会いを通して、特にうまくいかない状況で「自分はどういう点を磨かなければならないか」を考えさせられることで「充実した自己の歩みをしていくこと」に繋げていけるのではないかと思います。

   彼らとの出会いを通して己の気づきを促していけば、当然、己を伸ばすことに貪欲になっていき、キャリアに応じた専門職としての歩みが可能になっていきます。そしてこれらを「着実に積み重ねていく」ことが、広く大きくは自分自身の「悔いのない人生」の歩みに繋がるのではないかと思います。

   支援員として働くことで、障害のある人とその家族によって育てられている自分に気づき、すぐには到達できませんが、振り返って得る「自分が変革されていること」を実感とする喜びがあるのではないかと思います。

   障害がある人との出会いによって、自己実現が果たされ、成熟していく自分に気づき、人としての価値観の拡大が図れているでしょう。このことが福祉の仕事の醍醐味そのものといえるでしょう。

   出会いを大切にして己改革への挑戦に入りましょう。


2017年7月


職員としての振り返り②

  支援員として、知的障害の人たちと関わっていて、「うまくいったな!」と思えるときと、「なんでうまくいかないのだ?」と思うときがあるでしょう。

  「うまくいった!」と思えるときは、支援員である自分の描いたように進んだということでしょう(勿論、相手のことを考えたうえでの進めを予定している)。

   しかし、逆にうまくいかない場面での、支援としての自分はどんな状況にあるのでしょう?

  アプローチしていることを、どんどん強行していないでしょうか?例えば「早く早く」「きちんとして」「ここを持って」「指を使って」…etc、と。

  もちろんこれらの声かけは、進めようとしていることに必要な対応でしょうが、逆の反応になっているならば、相手のスピードやわかり方・指の機能性にマッチしない、支援員が描く目的的なフレーズを連発していることになります。これでは彼らは、「急がされている、やばい!」と感性が受け止めて、その人なりの行動をとろうとするのですが、期待されている行動にはならず、次の行動は防衛になり(自分を守るために)、結果的に抵抗や自傷行動といった課題行動で表すに至ることになります。

  支援員は、彼らの初期の反応はすぐには気付けず、押していく対応を続けがちになります。この過程の中で増々双方が悪循環に入っていくのです。

  そこで、当然支援員は、自分のアプローチが相手に適切ではないことに気づいていきます。それは、支援員の「早く早く」とか「指を使って…」というアプローチは、自分のテンポや指の使い方を基準にしていたこと、相手のテンポ・指の機能性などには注視しておらず、「これ位あたりまえ」という進めであったという内容です。気づいた支援員は「徹底して相手に合わせる」ことを考えていくことになります。

  人は各々多様です。知的障害のある人にあっても同様です。「知的障害があるから、分からない」、「できることが少ないから、教えなければ・支えなければ」と捉え、気づかないまま「上から目線の対応」になってしまっている際は、彼らは自己存在の確認を対等の位置づけで求めてきますし、シャープな感性でジャッジし、自己防衛手段として、いろいろな行動で示してくるのです。

  自分の思うことを的確に表現するには、言葉が不十分な障害特性もあることから、彼らの行動から何を表現しているのかの洞察は不可欠になります。

  支援員としての己は、利用者の各場面で適切な関わりになる模索を、続けていかなければなりません。

  難しいことですが、模索を続ける中から、人の多様性について知ることにもなり、己のうちに貯えられ、許容域が広くなります。


2017年6月


職員としての振り返り①

    職員として自分を省みる際に必要な視点には、

①職業選択にあたって、自らの動機の再認識と障害のある人たちの幸せに向けて、

    職員としての役割を意識すること。

②他人に好感をもたれる自分をつくっていくこと。

③健康管理・精神衛生を自分でコントロールすること。

④組織で働いていることをわきまえること。

⑤学びの場面を活かすこと。

⑥貪欲に自分を伸ばすこと。

⑦キャリアに応じた専門職としての歩みをすること。

⑧悔いのない、やりがいのある仕事をし、充実した生活を送ること。

があります。

 

    職員には、これらの視点に留意しながら、常に自分を省み、謙虚な姿勢で障害のある人と関わることが求められるのです。こうした視点を持ちながら、一人ひとりの職員が職員としてのわきまえをもって、障害のある人と出会うことが出来れば、障害のある人との日々の出会いの中で見られる言葉遣いは変わっていくものです。

   職員はその自分の姿を省みることによって「今の自分はどんな気持ちなのか」「人として尊重する気持ちで利用者と関わっているのだろうか」「他人に好感をもたれる自分なのか」を自問自答し、自己研鑽していく必要があるのです。

 

    人は経験を積む中で、迷うこと・悩むこと・壁にぶつかることがいろいろあります。こうした場合には職業選択にあたって、自らの動機を再確認するように努めます。ここでは「この仕事に就こうと考えた時の自分と今の自分は志において変わったことがあるのかどうか」「そしてそれはなぜか」を考えてみることが大切です。

    そうした中で、初心に戻り、今の自分を捉え、志を高くして前に進んでいくのです。

 


2017年5月


実践力の構築

     実践力を構築するためには、

1.基本を捉えておくこと

2.個を捉えたアプローチを考えること

3.家族との連携を図ること

4.医療との連携を実践すること

5.職員としてのチームワークからの意識を持った行動をとること

が求められます。

 

    初対面から1~2か月は、本人を知ることが主題となります。

    年齢や障害・生活史など一人ひとり背景が異なることを承知し、一人ひとりを正しく知ることが必要となります。この作業は、「現状把握」と言います。ここでは、「よい・悪い」の評価は加えないで、本人のありのままの姿を捉えることになります。その視点は、「生理的な事柄の実態と健康状態」「快・不快のジャンルとレベルの傾向」「わかる力とその行使度」「人への信頼感の程度」「障害からのものの度合い(こだわり・衝動性・てんかん等)」「課題となる行動」などです。

    このように各項目の状態を捉えることにより、現状におけるプロフィールを得て、本人のトータルの姿を把握するように努めます。

 

    「現状把握」を資料として、個別に支援目標を設定していきます。課題となる事項が多くあがる方もいるでしょうが、一挙に課題と意識すれば解決するということではないため、本人にとっての必要なことから選定していきます。

    この場合、本人の難易度や時間のかけ方と度合い・環境調整・人への安心感に関するものなどから吟味していきます。この際、初期早期に着手しなければならないとする項目を優先させて取り組みます。

    実践力を高めるためには、「知識の研鑽」と「実践の取り組み経過を検証すること」の双方の構築が必要となります。知識についてはベースになる事柄は初期に学習します。その後、事例に出会う度にその件を中心に文献をひもとき掘り下げていきます。

 

   実践の検証は、課題が解決したあとはもちろんですが、方針を持って履行し、3か月くらいは継続したところでその間を振り返ります。その際の振り返り点は、知識との照合です。経過が順調ならば捉え方・アプローチとも是として継続し、そうでなければ、どこがずれたのかをしっかり検討します。そして、捉え方・アプローチの修正に入ります。その際の検討資料はデーターです。そこに「なぜ?」を考える分析力が求められます。そのために記録は重要になるのです。

   この作業を通して、知識の応用力とアプローチの適格性を得ることになり、そのトータルが実践力として構築されていきます。

 

   実践力を高めることを意識し、事例を大切にする姿勢が前提として必要となります。1事例を徹底に検討した実績は、他の事例にもそのプロセスが応用されていきます。

   キャリアが活きる経過でありたいと思います。

 


2017年4月


支援者としての在り方は!

    人のしあわせ創りを支援する立場にある支援者は、特に知的障害のある方にあっては、とても影響が大きく、重要な位置にあることをふまえておかなければなりません。そこで、その支援者としてのあり方を考えてみたいと思います。

   まず支援者は、「自分を知ること」からです。厳しいようですが、自己把握をし、自己理解をして己を捉え、そこから支援者としての力量を高める歩みにしていかねばなりません。

   自己確認するポイントをあげてみますので、各々で確認し、己の目標を掲げ挑戦するあゆみでありたいと思います。

 

1.思想の確立~一人ひとりを「人」として

                                                      尊重することはできているか~

     当たり前とされる「人権尊重」の思想を知的障害者との出会い・関わってい

     る場面でどれだけ具現化しているかです。

 

2.人の価値観の確立

     人間の価値は「その真摯に生きることに向かい、心豊かに精一杯生きること

     そのもの」にあると捉え、相対的な観点・画一的な物差しの観点でない、人

     の見方の確立です。

      すなわち、個々人を絶対評価の上で人の価値が決まるという考え方を確立さ

      せることです。

 

3.実践への心得

     支援のあり方が十分確立しているとはいえません。そこで、実践の場にあっ

     て適切な支援のあり方の模索が続けられなければなりません。

     自分は何を役割としているのかを明確にしながら挑む必要があります。個々

     に応じたアプローチ方法を模索し、継続していくことが求められます。

      また、障害のある人は、たくさんの繋がりの中で生きているため、支援者が

      中心となって周囲の人との連携を図ることが求められるのです。

 

4.療育者・支援者としての構築

         ~豊かな人間性・科学的な視点・旺盛な実践力~

     支援者には、みんなが幸せに暮らす社会の実現に向けて、共に努力していく

     ことが求められます。その実現に向けて、支援者に求められることは、

     ①優しさ・暖かさ・協調性といった、人と和していける豊かさ

     ②障害のある人の様子を的確に洞察し、方針を持てる知識と科学性

     ③障害のある人と共に働くことで進める、実践への意欲と行動力

     です。

 

    人を育て、共に暮らす立場にある支援者には、これらの点を自覚し、障害のある人の自己実現のために、努力することが望まれるのです。

 


2017年3月


「行動障害のとらえ方と対応について」

   行動障害は、不安や緊張や混乱の中で、攻撃・自傷・多動・固執・不眠・拒食・脅迫などの講堂上の問題が出現し、日常生活が困難になった状態と言えます。

   この状態を改善するには、まず障害特性の理解が前提条件となります。人は誰にも自己防衛本能と自己存在確認の本能があるので、自分がどのような状況にあり、その本能を満たしているかどうかを捉えます。そして、その物差しで状況に反応していく力も備えています。

   そこで、知的障害のある方は、状況の理解が自己本位となり、この基本的物差しが行動の起こりを握ることが多いのです。なぜならば、知的障害は脳細胞の損傷に起因しますが、特に知性のダメージですので、本能的にキャッチする完成は健在なのです。その基本を踏まえ対応を考えていきます。

   知的障害や自閉などの特異な行動現象だけに対応していくと、増幅させてしまう結果でもありますので、その発端となった利用者の特異な行動の意味を追求していくことが大切になります。

   行動改善を図るためには

 

   1.障害特性をとらえること

       知的障害や自閉などの特性を承知すること。その特性の強さ・程度・度合い

       を把握することが基本です。

 

   2.利用者の気持ちをとらえること

        出会い・関わりが本人にとって快の状況になるようにします。

        障害特性を理解して受け止め、本人が受け止められている実感を持つこ

        と。

        本人の力に応じた許容範囲を決めること。過欲求によりコンプレックス・

         フラストレーション・ストレスが鬱積することがあります。逆に、過小評

        価による依存過多傾向に気をつけましょう。

 

   3.利用者の行動の理解をすること

        利用者の認知レベルに合わせた対応をします。

        利用者の運動量を調節して、生理的快適さ(快食・快便・快眠)を創りま

        す。

        職員が穏やかに接することは当然です。職員の関わりでコンプレックス・

        フラストレーション・ストレスをつのらせ過ぎないように配慮します。

        利用者のレベルに応じたコミュニケーションの方法を工夫してください。

        利用者の言葉と行動が一致しているかどうかにも気をつけます。 

 

   4.行動障害の表れ方をみて対応を整理すること

        利用者の障害特性を把握し、利用者の行動を肯定的に好意的に分析して解

        釈します。

         生理的快適状態の基は、生理的リズムを整えることですから、しっかりと

         留意します。

         構造化(場面・スケジュール・人)の手法を活用して、利用者がわかりや

        すい状 況をつくります。

          コミュニケーションをとり安心できる人との関係をつくりましょう。

         必要に応じて医療からのアプローチを図ります。

 

   以上のチェックポイントを振り返り、自分たちに不足していることは何か?どのような工夫をするべきか?それを試行錯誤していけば、行動障害の改善は可能です。

   目標を持って歩むことが支援職の誇りであり、やりがいだと自覚しましょう。

        


2017年2月


「共感・共育・共生を考える」

   福祉現場に働くわたしたちは、「支援をしている」「世話をしている」「面倒を見てあげている」と思いがちですが、最終的には、私たちが一番育てられ、大きくなって、幸せをもらっているのではないでしょうか。

   その実、人が対象であり、関わることを通した双方があり、お互いが影響しあって関係性は構築されます。これが福祉の現場です。この職業選択をした自分があるはずです。人生をいかに生きるかを生身の人間を相手に学ばせていただき、自分が育てられているのです。共感し、共に生き、共に育つ、そして人の道の歩みを貫くのが現場なのだと思います。

   「福祉は人なり」と申します。人に対して、人でしかできない営みだからです。ここから福祉は始まり、そして福祉の究極なのです。

   福祉の道は素晴らしい道なのです。人としてお互いの幸せに向かって関係しあい、自己実現という大きなテーマに向かって人生を歩いていくわけですから、お互いに「いい人生だった」と言える道になれば、すごいことだと思うのです。

   現場はいろいろな人間の集まりですから、良い話ばかりではなく、つらいこと、悲しいこと、手に汗握ること、いろいろあります。こういう場面でこそ、人としての生き方の原点を確かめての判断が求められるのです。

   多くの人・事に出会いながら、自分の生き方として、福祉に携わる職業人としての在り方を学んでいきましょう。


2017年1月


「たのしい笑顔の多い日々を」

 

  平成29年が始まります。そしてくず葉学園は4月に創立33年目を迎えます。

  20歳代でスタートした方は50歳代に、30歳代は60歳代にと、年齢を重ねてきました。年を重ねることによる身体の弱りに気づかされながら、一人ひとりが一日の暮らしの中で、自分を発揮し、出会う事柄を通して満足に近いものを感じてもらえるように支援をしましょう。

  まずは健康、そして事故の無いように安全に留意し、笑顔の多い日々を創りましょう。

  平成26年度・27年度・28年度は、全員で旅行を組み楽しい時間を経験しました。利用者の皆さんの興味・関心・体力を中心にいくつかのグループに分かれて、各々のグループに適正になるように組み、みなさんが楽しめるように支援の質も上がっています。

  毎年、参加された利用者さんはとても満足されています。この高い満足度を得た因子としては、各々に適した計画になったことだと捉えます。

  「みんなが一緒が是」という感覚を一歩踏み込み、メンバーの個々に着目し、各々に適した計画であってこそ、個が得る満足度アップにつながるのだと思います。

  60歳を超えてからのこの相違度は、徐々に明らかになります。その実態を捉えたうえでの現状を適正に認識し、その視点に立って保持し、利用者各々さんが「今日も楽しかった」と感じてもらえるように支援を進めましょう。

  その実際は日々の過ごしにあり、集団活動は個を活かすための力であり、個が活かされないのでは有益とはいえません。ならば、個別対応で良いのかと問うと、やはり仲間と共にあることによる安心と満足があるのです。この集団と個の対応留意のバランスこそが大切になります。

  彼らは自分の心情をストレートに表現しますから、表情・動作を捉えると理解できます。この視点で彼らの内面をキャッチし、利用者の皆さんが笑顔の多い暮らしを過ごしていただけるよう努力していきましょう。


2016年12月


「知的障害のある方々の自立②」

 

自立の基本となること

  自立とは「自分の持てる力を十分に発揮して生きること」と申しました。その姿の具現のためには、どのような点を整えて、力にしていくことが必要かを考えてみたいと思います。

  まず「生きる」現実から、誰でも共通に身体面での健康があがります。丈夫な身体を得ているということです。勿論、彼らの中には合併症のある方もおられますが、その症状が医療との連携のもとにコントロールされ、日常的には大きく気にかけずともよいというコンディションを備えていれば、承知をすることで良いと考えます。丈夫な身体を得る際の基本は、食事・睡眠・排泄といった生理的三原則の整えは必要です。これらを整えるためには、適度な運動量を確保し、規則正しいリズムのある生活の実績が重要になります。

   次にあがる点は、各人が自分の行動に「自信」をもって対処している姿です。これは児童期から培ってきた人との関係性を基盤にして、信頼関係を深めて得ていくものです。その内容は「知的障害のある彼らが、人として認められていると感じること」「認められて安心を得ていると感じること」を通して築かれるのです。こうした関係は、日常的な場面での承認・賞賛によって深まっていきます。つまり、知的障害のある方々が喜びを感じ、それに共感する関わる人との関係で深まっていくのです。

  そこでの留意すべきことは、彼らが遭遇する事柄のひとつひとつが「過欲求なことではないか」また、「過保護な中にはないか」という点での確認が必要なように思います。

  ここでの要になることは、知的障害のある彼らと関わる人が、尊重した関係を築くことによって「本人が快い」と感ずる実績を横たえて、関係を形成していくことになるということです。

  こうした関係性のもと、彼らは事柄のひとつひとつで「達成感」「完成感」を得ることができ、その結果「自信」を得ることができるのです。その小さな自信の累積が大きな自信となり、事柄に向かう意欲や態度の形成をし、新たなことに挑戦しようという気持ちも高まっていくのです。すなわち、小さな事柄であっても成功体験が積めるように支援していくことが重要なこととなるのです。

  ただ、知的障害のある方々は、自分の力を過信する傾向もあるので、彼らが理解できる適度な枠を示し、その枠の中で我慢する力や周囲の理解をはかる必要があります。そうした中で「自己コントロールをする力」を育て、枠の中での自己選択・自己決定の体験を豊かにしていく必要があると考えています。

 


2016年11月


「知的障害のある方々の自立①」

-「能力内自立」を求めて-

 

自分の持っている力を十分に発揮して生きること

   知的障害は脳の器質的な障害ですから、一人でできることはどうしても限定されます。ですから、一般的な意味での自立は難しいのかもしれません。

   しかし障害があっても、人として「自分の持てる力を十分に発揮して生きる」ことが自己実現の道ですし、それは十分に可能です。

   それを私たちは「能力内自立」と捉えています。その姿は、その方の能力を精一杯発揮している絶対評価に立って捉えます。

   したがって支援とは、「知的障害のある方々が持っている力は、各々ダメージの後遺症のために異なりますが、それを十分に活かして生きる姿」を求めることなのです。

   持っている力を活かしながら、社会保障の中で暮らしを確保することができれば「能力内自立とし、それで十分」ということになります。

   私たちは、「本人に対して求めること」と「まわりの者たちが担うべき役割」を明確にする必要があります。

   障害のある方々が「自分の持てる力を十分に発揮して生きていただくため」に、私たちが行うべきアプローチを、少し考えてみたいと思います。


2016年10月


「知的障害のある方々との

関わり②」

①集団の力を活用しよう

   人は個と集団の力の相互作用で育ちます。

   集団の力は「グループダイナミクス」と言いますが、集団の力が良く作用するのは意欲です。やろうとする気持ちは、集団の力が相互に働くことによって個々が動機づけられ高まります。だからこそ、適正集団の中での本人は「みんなやっているから自分もやってみよう」となり、支援者は「みんながやっているから、あなたもできるでしょう。がんばりましょう」と雰囲気をつくり、モチベーションを高めていくことが可能になります。

   繰り返す中で「集団の中の自分」「集団の影響を受ける自分」があり、社会性が育ちます。

   ここで大切なのは、属する集団です。利用者さんが「集団から刺激を受けないお客さん状態」だと、グループダイナミクスの意味は機能できていません。よって、表情は乏しく活力が見られなくなり、だめな自分を感じるようになっていきます。

   支援員は、本人の属する集団を、本人にとって適正にしていくと同時に、集団の刺激が本人に伝わるように、促しや問いかけや承認を頻繁にしていきます。まわりから繰り返し賞賛を浴びせられるようになれば、本人の喜びと意欲が育ち、人との信頼関係もさらに深まります。

   その結果、個と集団の相互作用が成り立ち、よって「みんなでがんばろう」の雰囲気を持つ、より良い適正集団がさらに創られていくのです。

 

②信頼関係を育てよう

   利用者さんの質問や疑問にはどのように答えていますか?面倒くさがらないでその方に分かるようにきちんと答えていますか?わかることはわかるように答え、わからないことは「一緒に学ぼう」と答えます。いい加減なことを言っていると、いい加減な学習をし、職員は当てにならないと思い信用できずに信頼関係は育めません。 「全部答えなければならない」のではなく、「一緒に考えよう、学ぼう」という姿勢が大切なのです。

   質問をした利用者さんは「自分に対してこの職員はどう思っているのだろうか?」と試しているのだと思っても過言ではありません。適当に扱われている、適当に否定されていると思えば、自分を閉じていき「職員はあてにならない、信用できない」と捉えます。理屈や理論ではなく感性のアンテナで人を判断しているのですから、丁寧に関わる姿勢が必要なのです。

   自分の扱われ方に非常にシャープになっている利用者さんです。そのことをよくわきまえて、表面的な関係の良さで判断せず、真の信頼関係を育てる努力をしていきましょう。

 


2016年9月


「知的障害のある方々との関わり方」

①支援員は感覚を研ぎ澄まし、障害のある方々の笑顔を引き出しましょう

   人は感覚器を通して受けた刺激を脳に送り込んで認識をしていきますが、障害のある方の場合、その刺激を捉える際に特異さがあったり、逆に丸ごとすべてを取り込みすぎていることがあります。

   しかし、自分にとって快か不快かはしっかりキャッチしています。ただ、感じ取ったことを表出することが弱いため、利用者さんがどう感じているのか、何を考えているのか、がわからないことがあります。

   その場合、支援員は、障害のある方々の発信に対して自分自身の感覚を研ぎ澄まして相手を正しくキャッチする必要があります。また、障害のある方々が「快い」と感じ「笑顔が出る」状況を多く作ることが支援員の配慮すべきことになります。

   なぜなら、マイナスの人間関係では、人への安心感や信頼感は育たないからです。プラスの関わりを通して、人は関係の豊かさや「信頼関係の深まり」を獲得していくからです。

   支援員は「相手の立場から見た出会いの大切さ」を改めて心得としていきましょう。

 

②「食事・睡眠・排泄」の生理的三原則を整えることは

身体的好調メカニズムの基本

個にあった姿を捉え留意していきましょう

   利用者の方々が「快食か?快眠か?快便か?」をもう一度振り返ってみましょう。

   人の身体はこれが基本です。当たり前すぎて、重視しなくなることは支援員のマンネリズムを表しています。

   なぜ食べられないのか?なぜ断眠をするのか?なぜ便秘なのか?どのような配慮が必要なのか?どのような工夫が必要なのか?どのような手立てをしていこうか?

これらを考え、実行していくのが支援員の仕事です。

   「この人は食べない人なのです」「寝ない人なのです」「便秘なのです」という割り切りは簡単にするべきではありません。

   身体的快適さを得てもらうために、再度、振り返って適切な対応を考えていきましょう。

③こだわりについての関わり方

   「こだわり」は「何にどの程度執着しているのかな」という視点を持つことが大切です。

   「~はしません」「~は終わりです」と言葉で指示をして行動が集成できる人はきわめて少ないでしょう。

   大切なことは「こだわりの事象と程度を捉えること」からです。それに対して修正プランは持ちますが、それを強行するのでは無く、「こだわりに付き合う」ということを考えていきます。

   つまり、おつきあいをしながら、「転換・誘導」に応じられるように図りますが、個の特性の一つでもありますから、それには人間関係の構築ができていないとなりません。

   その人間関係の構築こそが共に歩む道を創ります。

   「一緒に付き合って一緒に楽しんで切り替えていくこと」

   「こだわりに少し付き合って、それでおしまいに持っていくこと」

   これが、本人にとっても願うところなのだと考えて、人間関係を深める契機にしていきましょう。


2016年8月


「発達を知りプロフィールを描き

アセスメントをていねいに」

  発達には道筋があります。

  人の発達は、段階を踏みながら進んでいくものですから、飛び越えることはありません。

  また、「発達が遅い、早い」と親・家族は一喜一憂しますが、発達は個別のことですから、人と比べる必要はありません。

  大切なことは「発達がどのように進んでいるか」なのです。つまり「その人その人のペースで良い」ということなのです。

  個々人のプロフィールに凸凹がある場合、個別性の観点から「ここは限界かもしれないが、ここは芽が出てくるかも…」ということが描けると良いのです。

  ですから、個々人のプロフィールを承知しておくと「今どうあるべきか」の物差しが持てるようになり、課題が明確になってきます。

  個別支援計画は、それぞれ個々のプロフィール・アセスメントから課題を明確にして、日々アプローチをして、記録化していく最も大切な支援の基本となるものです。

  このように、私たちは個別性の観点から障害のある方々と出会うと、力が入りすぎることもなく、お互いに気持ちが楽になるのです。

  関わるものの落とし穴は障害特性による決めつけです。「知的障害だから知的に弱いからしょうがない」「自閉症だからこだわる」というような短絡的な見方です。こういう見方はマイナス面を強調する見方です。しかし、個別性の観点からみれば、「ここは弱いが、ここは強い」という見方に変わり、あせらず向き合うことができるようになるのです。

  ですから、関わるものは、利用者さんのプロフィールを描き、アセスメントをていねいにおこない、その人の持っている力を最大限に引き出す必要があるのです。

  障害のある方々の、今のあるがままの姿を捉え、障害特性や障害程度を知って、その人のプロフィールを描き、アセスメントをていねいにおこなうことは、その人を知るうえで欠かせない、私たち支援員の義務なのです。

 


2016年7月


「障害のある方と出会うときの基本とは」

①障害を正しく理解しよう

    「障害を正しく理解する」とは、診断を受けている障害のことを勉強ということです。知的障害なのか自閉症なのかADHDなのか 等、そうう障害名がついいたら、その障害について勉強しなければなりまん。

   障害によって生じる行動は「やりたい」とか「やりたくない」とかの情緒ベルによって生じる行動ではないからです。また同じ障害名でも、見る行動は異なることも承知しておきましょう。

   障害の軽い方や重い方がいるように、障害のレベルによって見せる姿も違いま

す。ですから基本的な障害を理解し、そして本人の現実の姿を通して、更に深く理解していくことが重要です。

 

②ひとりの「人」としておつきあいをしよう

   私たちのまわりの人は、すべて同じ人間です。子供であっても高齢であっても、障害があっても健常であっても、人としては対等なのです。

   この当たり前のことを忘れてはいけません。この意識がないと、人と真の出会いは成り立たないのです。

   常に自分をふりかえる習慣が大切です。

 

③他人と比べないでおこう

    個人を捉えるときに、他人と比較してはいけません。発達の仕組み同じでも、障害の部位や程度により個々人のプロフィールは違うからです。

   障害を的確にとらえるために知識を持つことは大切ですが「この人どういう人なのか」を捉えるときに、他人と比較するのではなく「個別性」に焦点を当てるのです。それが支援者の立場です。

 

   このように①②③の基本を得ることにより、その人の「障害以外のこと」と「障害があること」の両者を本当の意味で受容することができるようになります。

   そのプロセスを通して、自分自身は成長していくのです。自分自身の成長なくして、利用者さんの成長はありません。


2016年6月


「主体は本人」

   「人はだれしも幸せな人生を歩みたい!」また「幸せな人生を歩んでもらいたい!」と思っています。

   障害のある方々にも同じことが言えます。しかし、障害のある方々にすべてを託してもその実現は困難です。ゆえに支援は不可欠です。

   しかし、まわりの者の思惑だけで支援サービスを組み立ててはいないでしょうか?

   特に、自閉症の方は、その特性からいろいろな行動を見せるので、本人の気持ちをキャッチすることが難しく本人と周囲の間で気持ちの行き違いが生じやすいのです。

   「なぜこんなことをするの?」「なぜこのようなことをされるの?」という思いが積み重なって、まわりが「この道がよいのだ…」と勝手に決めて進めていくことになりがちです。そこで、私たちは「これでいいのだろうか?」と自問する姿勢が必要です。

   人の人生は、まわりが決めることではありません。主体は本人なのです。一人の人間として、その人なりの気持ちや意思を持ち現実を生きているのです。

   人が生きる道は本人なのですから、本人の気持ちや意思を大切にしていくことが、まわりの私たちには求められるのです。

   私たちは、根本的な間違いをおかさないサービスの在り方を模索していくことが責務なのです。


2016年5月


「福祉は人なり」

   福祉領域のお仕事に就くことを志した人は、「何か他人のためになりたい!!」との動機からではないかと思います。

   対象が「人」であるというところに、関わりをもつ側としては、常に相手を正しく認識し、人としての尊重理念を心にもち、適切な支援であろうと努力することになります。

   この努力の集積によって、日々少しずつ福祉は推進されていくのです。

   即ち、福祉の推進は諸制度の適切な活用のもとに、人が人によって支えられ展開し、現実を創り出していくのです。

   障害者支援に絞ると、障害のある方々について、一人ひとりの特性を理解したうえで、人として出会うことになります。その際、支援者として十分な気配りをしながらの出会いをしたつもりが、相手の反応が予想する姿でないことも多々見せられます。ここでシンキングすることが大切です。

   知性の弱さが障害のためにありますから、感性をフル稼働させて反応するのが特性からの表現です。ならば、どこがずれたのか事象一つひとつに対して、真摯に考えをめぐらせて、要因に気づき、捉え方と対応の修正を図ることになります。この試行錯誤の結果は、しっかりと相手に適正な支援を導き出すことを得させてくれるはずです。

   動機となった、己の心根を失わず、しっかりと相手(人)と向き合いながら、人と人との繋がりを創り・保ち、お互いに笑顔の多い一日を重ねることになる努力です。

   まず、己が福祉を担う者としての立場を自覚しましょう。とはいえ、一人では何もできませんが、お互いの力を結集すれば、大きな力になります。助けあいながら、人と織りなすなかで、その力の結集によって福祉は推進されていくのです。

あなたがその一人なのです。


2016年4月


「つながりを大切に」 

  「今、私が関わっているのは幼児期の子供です。」「私が関わっているのは成人期の人です。」といわれる方は、それぞれの役割を担ってはいますが、一方で、あたかも「その利用者さんのすべてを背負っているのです」というように考えていませんか?

   利用者さんにとって、それぞれの時期は一生のうちの一つの通過点にすぎません。人の人生はずっとつながっていて、そのつながった時間経過の中で年齢を重ねて生きています。

   利用者さんの一生を想像しましょう。利用者さんと関わりのあるそれぞれの時期の、それぞれの立場の人との間で、そのつながりを互いに認識しながら、お付き合いをして連携していくことが大切なのです。

   そういうつながりのある方々との連係プレーがないと「利用者さんの幸せはない。」といっても過言ではありません。

   障がい福祉は、各領域・各分野の人と人とネットワークによって、より素晴らしくなるのです。

   利用者さんに関わる方々とのつながりを、もっともっと大切にしていきましょう。